創作天文台
文章の二次創作を中心としてオールマイティーに。現在リリカルなのはの二次創作を連載中。極々普通にリンクフリー。
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魔法少年ロジカルなのは9-6(6)
懐から取り出したカードが見る間にデバイスに展開される。直線的なパーツで構成された無骨なそれを、軽く地面に打ち付けた。何かが擦れるような音が耳を通り抜け、かすかな違和感が肌に張り付く。
「僕を中心に認識阻害の結界を展開した。これで空を飛んでも気づかれる心配はない」
「さすが魔法、便利なものですね」
「本来はこういった基本的なものから勉強していくんであって、直射砲撃の方がよっぽど……いや、君に常識は通用しないか」
至極常識的な教育を受けた魔導師は、そう言って嘆息しつつふわりと地面から離れた。部下達がそれに続く。
「そんなことを言われても、私にとっては撃つ方が簡単で……どうしたの?」
抗弁しながら十mほど浮き上がったなのはは、なかなかついてこないアルフを見下ろした。
「時間がないんだから早くしてよ」
「分かってる! ……っく」
強気に返したアルフはすぐに浮き上がるものの、姿勢が安定しなかった。顔色も厳しい。無理をしているのは誰の目から見ても明らかだった。
「本当に大丈夫なのか? やはり君はここで待っていた方が……」
「なに言ってんのさ、アタシはいけるよ」
「しかし」
「ほら、急ぐんだろ!」
「お、おい! ……仕方ない、追おう」
逃げるように先行したアルフだったが、息切れを起こすのは早かった。やはり魔力の回復が足りなかったのだ。
最初から直接戦うことはあきらめていたが、このままでは戦場にたどり着くことすらできない。アルフは自分の見通しの甘さを悔いた。
しかしだからといって誰も助けてくれはしない。これから行くのは戦場だ。戦力でなくとも、自力で逃げることができなければ話にならない。
「ちゃんと考えてきたと思ったらこれだもんなぁ」
「うる、さいよ、っ……!」
いとも簡単に追いついたなのはが横からアルフをなじる。キッと睨むが、なのはは涼しげな顔でバカにしたような半目を返してくる。
その視線はアルフの中に対抗心を生んだが、精神論でどうこうできるほど疲労は軽くなかった。見る見るうちにスピードが落ち、やがてなのはと併行することもできなくなる。
「僕を中心に認識阻害の結界を展開した。これで空を飛んでも気づかれる心配はない」
「さすが魔法、便利なものですね」
「本来はこういった基本的なものから勉強していくんであって、直射砲撃の方がよっぽど……いや、君に常識は通用しないか」
至極常識的な教育を受けた魔導師は、そう言って嘆息しつつふわりと地面から離れた。部下達がそれに続く。
「そんなことを言われても、私にとっては撃つ方が簡単で……どうしたの?」
抗弁しながら十mほど浮き上がったなのはは、なかなかついてこないアルフを見下ろした。
「時間がないんだから早くしてよ」
「分かってる! ……っく」
強気に返したアルフはすぐに浮き上がるものの、姿勢が安定しなかった。顔色も厳しい。無理をしているのは誰の目から見ても明らかだった。
「本当に大丈夫なのか? やはり君はここで待っていた方が……」
「なに言ってんのさ、アタシはいけるよ」
「しかし」
「ほら、急ぐんだろ!」
「お、おい! ……仕方ない、追おう」
逃げるように先行したアルフだったが、息切れを起こすのは早かった。やはり魔力の回復が足りなかったのだ。
最初から直接戦うことはあきらめていたが、このままでは戦場にたどり着くことすらできない。アルフは自分の見通しの甘さを悔いた。
しかしだからといって誰も助けてくれはしない。これから行くのは戦場だ。戦力でなくとも、自力で逃げることができなければ話にならない。
「ちゃんと考えてきたと思ったらこれだもんなぁ」
「うる、さいよ、っ……!」
いとも簡単に追いついたなのはが横からアルフをなじる。キッと睨むが、なのはは涼しげな顔でバカにしたような半目を返してくる。
その視線はアルフの中に対抗心を生んだが、精神論でどうこうできるほど疲労は軽くなかった。見る見るうちにスピードが落ち、やがてなのはと併行することもできなくなる。
魔法少年ロジカルなのは9-6(5)
あっけなく賛意を示し意見を求めてきたなのはに、クロノは気の抜けた返事を返すことになってしまった。指揮官たる者常に冷静であれという士官学校時に教わった言葉を思い、クロノはわざとらしく咳をしたが、部下達はなのはのあっさりとした態度に驚きクロノのことは目に入っていないのだった。
提案をしたアルフ自身も呆然としてまともな反応をとれないでいた。
「あ、ああ、そうだな。悪くない意見だと思う。僕も賛成だ」
「クロノ君もこう言ってるし、じゃあ、はい。無くしたら終わりだからね、絶対に守りきること。いい?」
なのはは許可が出るやいなや、クロノの手からひょいと中和剤の入った箱を取り上げてアルフに渡した。
「う、うん……じゃなくてさ、それでいいのかい!?」
「いいのかいって言われても、あなたが頼んできたんだよ」
「そりゃそうだけど……」
「それともあれかな、私の言うことはやっぱり信用できないとか」
「……」
アルフにとって信用という言葉から一番遠い人間がそう言った。当たり前だろと叫びたくなるのを必死にこらえた。
違法なことをしている以上文句を言える立場ではないのは分かる。そもそもなのはに協力を仰いだのは自分だ。なのははフェイトを助けるために必要であり、しかしできれば一番関わらせたくない人間でもあった。
フェイトとの戦いに同行しようとしたのも、薬云々よりも、土壇場になってなのはが手のひらを返すことへの不安からだ。いざとなればその身を盾にしてでもフェイトを守るつもりでいる。
「ま、当たり前だよね」
なのははまるで他人事のように頷いた。
「あれだけのことをして簡単に信用されたらその方が怖いから。一応背中を見せて戦うんだからそれくらい用心深い方が丁度いいと思うよ。もう時間もないし。信用なんてしなくてもいいよ、役割を果たしてもらえばそれで」
「私が裏切るとは考えないのかい?」
「ご主人様を助けたいんだよね?」
質問に、肯定する以外しようがない質問で返してくる。こういうところが信用ならないとアルフは思うのだ。
アルフが黙り込んだのを確認するとクロノはよし、と頷いた。
「決まりだな。では急ごう」
懐から取り出したカードが見る間にデバイスに展開される。直線的なパーツで構成された無骨なそれを、軽く地面に打ち付けた。何かが擦れるような音が耳を通り抜け、かすかな違和感が肌に張り付く。
提案をしたアルフ自身も呆然としてまともな反応をとれないでいた。
「あ、ああ、そうだな。悪くない意見だと思う。僕も賛成だ」
「クロノ君もこう言ってるし、じゃあ、はい。無くしたら終わりだからね、絶対に守りきること。いい?」
なのはは許可が出るやいなや、クロノの手からひょいと中和剤の入った箱を取り上げてアルフに渡した。
「う、うん……じゃなくてさ、それでいいのかい!?」
「いいのかいって言われても、あなたが頼んできたんだよ」
「そりゃそうだけど……」
「それともあれかな、私の言うことはやっぱり信用できないとか」
「……」
アルフにとって信用という言葉から一番遠い人間がそう言った。当たり前だろと叫びたくなるのを必死にこらえた。
違法なことをしている以上文句を言える立場ではないのは分かる。そもそもなのはに協力を仰いだのは自分だ。なのははフェイトを助けるために必要であり、しかしできれば一番関わらせたくない人間でもあった。
フェイトとの戦いに同行しようとしたのも、薬云々よりも、土壇場になってなのはが手のひらを返すことへの不安からだ。いざとなればその身を盾にしてでもフェイトを守るつもりでいる。
「ま、当たり前だよね」
なのははまるで他人事のように頷いた。
「あれだけのことをして簡単に信用されたらその方が怖いから。一応背中を見せて戦うんだからそれくらい用心深い方が丁度いいと思うよ。もう時間もないし。信用なんてしなくてもいいよ、役割を果たしてもらえばそれで」
「私が裏切るとは考えないのかい?」
「ご主人様を助けたいんだよね?」
質問に、肯定する以外しようがない質問で返してくる。こういうところが信用ならないとアルフは思うのだ。
アルフが黙り込んだのを確認するとクロノはよし、と頷いた。
「決まりだな。では急ごう」
懐から取り出したカードが見る間にデバイスに展開される。直線的なパーツで構成された無骨なそれを、軽く地面に打ち付けた。何かが擦れるような音が耳を通り抜け、かすかな違和感が肌に張り付く。
魔法少年ロジカルなのは9-6(4)
よくよく考えればこの仕事、非常に重要なポジションでありながら比較的安全だ。いつもは攻撃の盾にされるが、今回ばかりはその立場も逆転する。安全に存在感を増すためには絶好の機会だ。
「なんならその仕事、あたしに任せてくれないか?」
しかし思わぬ所から挙がった声がその場にいた全員の注意を奪う。ユーノは思わず驚きを口に漏らした。
「ア、アルフ?」
赤い毛並みの犬の姿はなく、彼女は人型に戻っていた。変身の際に解けてしまったのか、ついさっきユーノが巻いてやった包帯がずいぶん乱暴に巻き直されている。
クロノ達がどう対応したものか戸惑う中、なのはは静かに口を開いた。
「どうしてあなたがここにいるのかな。檻の中に入ってたでしょ」
「ユーノが鍵を閉めなかったんでね」
「……そう」
ユーノはあっと声を上げたが、今更どうなるものでもない。ユーノにはちらりと横目を向けただけで、なのははすぐに注意をアルフに戻す。
クロノの脳裏に数時間前の凶行がよぎった。またあのようなことになれば、せっかく協力的になったなのはがの気が変わるともしれない。武装隊員達にそれとなく目配せしながら、張りつめた空気の中でいつでも動けるようにデバイスを握りしめる。
「あなたが中和薬を持つ、ね。どうしてろくに戦えそうもないあなたにこんな重要なことを任せなきゃいけないのかな。理由を聞かせてくれる?」
なのはは無表情で淡々と言葉を重ねていくが、正面からそれを受け止めるアルフは相当なプレッシャーを感じていた。握りつぶされそうになった首に痛みがよみがえる。だがアルフは主人を助けたい一心で、冷静に自分を連れて行くことの利を説き始める。
「戦えないからこそさ。その薬はなるべく安全なところにある方がいいんだろう? フェイトも戦力にならないやつはきっと無視するだろうし、もし万一のことがあっても身を守ることくらいはできる。ユーノより確実だと思う」
「……なるほど、ちゃんと考えてきたんだ。うん、私も賛成かな。クロノ君はどう?」
「え?」
あっけなく賛意を示し意見を求めてきたなのはにクロノは気の抜けた返事を返すことになってしまった。指揮官たる者常に冷静であれという士官学校時に教わった言葉を思い、クロノはごまかすようにわざとらしく咳をしたが、なのは以外の全員があまりにあっさりとした態度に驚き、そもそもクロノのことなど見ていないのだった。
「なんならその仕事、あたしに任せてくれないか?」
しかし思わぬ所から挙がった声がその場にいた全員の注意を奪う。ユーノは思わず驚きを口に漏らした。
「ア、アルフ?」
赤い毛並みの犬の姿はなく、彼女は人型に戻っていた。変身の際に解けてしまったのか、ついさっきユーノが巻いてやった包帯がずいぶん乱暴に巻き直されている。
クロノ達がどう対応したものか戸惑う中、なのはは静かに口を開いた。
「どうしてあなたがここにいるのかな。檻の中に入ってたでしょ」
「ユーノが鍵を閉めなかったんでね」
「……そう」
ユーノはあっと声を上げたが、今更どうなるものでもない。ユーノにはちらりと横目を向けただけで、なのははすぐに注意をアルフに戻す。
クロノの脳裏に数時間前の凶行がよぎった。またあのようなことになれば、せっかく協力的になったなのはがの気が変わるともしれない。武装隊員達にそれとなく目配せしながら、張りつめた空気の中でいつでも動けるようにデバイスを握りしめる。
「あなたが中和薬を持つ、ね。どうしてろくに戦えそうもないあなたにこんな重要なことを任せなきゃいけないのかな。理由を聞かせてくれる?」
なのはは無表情で淡々と言葉を重ねていくが、正面からそれを受け止めるアルフは相当なプレッシャーを感じていた。握りつぶされそうになった首に痛みがよみがえる。だがアルフは主人を助けたい一心で、冷静に自分を連れて行くことの利を説き始める。
「戦えないからこそさ。その薬はなるべく安全なところにある方がいいんだろう? フェイトも戦力にならないやつはきっと無視するだろうし、もし万一のことがあっても身を守ることくらいはできる。ユーノより確実だと思う」
「……なるほど、ちゃんと考えてきたんだ。うん、私も賛成かな。クロノ君はどう?」
「え?」
あっけなく賛意を示し意見を求めてきたなのはにクロノは気の抜けた返事を返すことになってしまった。指揮官たる者常に冷静であれという士官学校時に教わった言葉を思い、クロノはごまかすようにわざとらしく咳をしたが、なのは以外の全員があまりにあっさりとした態度に驚き、そもそもクロノのことなど見ていないのだった。
魔法少年ロジカルなのは9-6(3)
懐から取り出されたのは十五センチ前後の金属製の箱だった。クロノが開くと中には青色の液体が入った試験管のような物が二本あった。
「中和薬だ。二本あるが一本は予備。これを経口投与すれば魔法薬は効力を失う」
「経口? 注射とかじゃないんですか?」
ドーピングと言えば静脈注射のイメージがあったなのはにとっては少し意外だった。
「ああ。人体の構造やリンカーコアの性質上、魔法薬は普通の薬と違って口から飲む種類の物が多い。とにかく口から飲ませればいい、とだけ覚えておいてくれ」
「分かりました」
「それでこの薬を持っておく役割だが……これもフェ、もといユーノ、君が頼む」
「……え? ぼ、僕!?」
ユーノは自分を人差し指でさして目を白黒させたが、なのはもクロノと同じ結論を出していた。作戦の要となる貴重な薬だ。できるだけ戦闘から遠く、かつ戦場に近い人間が持つことが望ましい。
クロノや武装隊員は激しい機動戦になるだろうから無理。なのはは後方担当だがこれまでの戦歴から言って、もっともフェイトの恨みを買っているのは自分だという自覚があった。後ろでバカスカ砲撃を撃っているのをいつまでも放っておくほど彼女が愚かとも思えない。
といった消去法でユーノが残ったわけだが、幸いなことに防御魔法を得意とし、逃げ足が速く、ゴキブリ並の生命力を持っている彼はまさに適任と言えた。
「私からもお願いするよ。この任務は今までの戦闘でずっと空気だったユーノ君にしかできないもん」
「う、う〜ん」
ユーノは思案する。なのはがさりげなく口に出した言葉は質の悪い冗談だとして、確かに最近の戦いではあまり活躍できていなかったような気がする。例えなのはが武装隊員も真っ青な装甲と火力を持った戦闘マシーンだとしても、ジュエルシードの拡散に責任がある者として何か役割を負わなければと常々思ってきた。
それによくよく考えればこの仕事、非常に重要なポジションでありながら比較的安全だ。いつもは攻撃の盾にされるが、今回ばかりはその立場も逆転する。
「中和薬だ。二本あるが一本は予備。これを経口投与すれば魔法薬は効力を失う」
「経口? 注射とかじゃないんですか?」
ドーピングと言えば静脈注射のイメージがあったなのはにとっては少し意外だった。
「ああ。人体の構造やリンカーコアの性質上、魔法薬は普通の薬と違って口から飲む種類の物が多い。とにかく口から飲ませればいい、とだけ覚えておいてくれ」
「分かりました」
「それでこの薬を持っておく役割だが……これもフェ、もといユーノ、君が頼む」
「……え? ぼ、僕!?」
ユーノは自分を人差し指でさして目を白黒させたが、なのはもクロノと同じ結論を出していた。作戦の要となる貴重な薬だ。できるだけ戦闘から遠く、かつ戦場に近い人間が持つことが望ましい。
クロノや武装隊員は激しい機動戦になるだろうから無理。なのはは後方担当だがこれまでの戦歴から言って、もっともフェイトの恨みを買っているのは自分だという自覚があった。後ろでバカスカ砲撃を撃っているのをいつまでも放っておくほど彼女が愚かとも思えない。
といった消去法でユーノが残ったわけだが、幸いなことに防御魔法を得意とし、逃げ足が速く、ゴキブリ並の生命力を持っている彼はまさに適任と言えた。
「私からもお願いするよ。この任務は今までの戦闘でずっと空気だったユーノ君にしかできないもん」
「う、う〜ん」
ユーノは思案する。なのはがさりげなく口に出した言葉は質の悪い冗談だとして、確かに最近の戦いではあまり活躍できていなかったような気がする。例えなのはが武装隊員も真っ青な装甲と火力を持った戦闘マシーンだとしても、ジュエルシードの拡散に責任がある者として何か役割を負わなければと常々思ってきた。
それによくよく考えればこの仕事、非常に重要なポジションでありながら比較的安全だ。いつもは攻撃の盾にされるが、今回ばかりはその立場も逆転する。
魔法少年ロジカルなのは9-6(2)
バニングス邸は大きさこそ小さな森があるほど巨大な月村邸には及ばないが、その分細かく手入れの行き届いている。その中央、正面門から玄関へのびる通路に、黒いバリアジャケットをまとったクロノが立っていた。後ろには六人の武装隊員が控えている。
「来たようだな」
うん、と簡潔に答えて、なのはは武装隊員達に視線をやった。かなり数が少ない。
「先ほども伝えた通りこちらは前の先頭での消耗から回復していない。プレシアが介入してきた際にあてる予備も考えるとこれが限界だった」
「分かっています」
その顔ぶれはアースラの一員としてジュエルシードを回収していた時に見知った中でも、実力が高いと感じた者ばかりだった。なのはとて彼らと戦えば苦戦は免れまい。それに魔導師としての実力はなのはより上のクロノもいる。おまけにユーノとて一流の範囲に入る魔導師だ。万全とは言わないまでも、十分に強力な戦力であろう。
問題はフェイトが魔法薬でどの程度強化されるか。
「ダピエルトリシン、とか言いましたっけ。それを使うとどれくらい強くなるんですか?」
「一概には言えない。彼女が使うのは非正規品だし、使用する魔導師の素地にもよる。こちらのデータでは魔力総力は二倍、防御、攻撃はおおむね三割程度の上昇とあるが、それですめば御の字だ」
「それは、また」
どうやら別人と考えた方がよさそうだ。五分五分の戦いを繰り広げてきたことを考えると一対一での勝利はまず不可能と考えた方が良さそうだ。だからこそこうしてクロノ達と協力して事に当たるわけだが。
「この六人と僕でフェイトを攪乱、消耗させ動きを止める。が、僕たちだけではおそらく打撃力が足りないだろう。そこで君に隙を見て砲撃してもらいたい。フェレットもどきは……」
「おい!?」
「……間違えた。ユーノ、君は砲撃にあわせて拘束魔法でフェイトの動きを止めてくれ」
「……」
じと目でにらまれたが了解の意と受け取り、クロノは話を進める。
「彼女が抵抗しないようになったらこれを投与する」
懐から取り出されたのは十五センチ前後の金属製の箱だった。クロノが開くと中には試験管のような物に入れられた青色の液体があった。
「来たようだな」
うん、と簡潔に答えて、なのはは武装隊員達に視線をやった。かなり数が少ない。
「先ほども伝えた通りこちらは前の先頭での消耗から回復していない。プレシアが介入してきた際にあてる予備も考えるとこれが限界だった」
「分かっています」
その顔ぶれはアースラの一員としてジュエルシードを回収していた時に見知った中でも、実力が高いと感じた者ばかりだった。なのはとて彼らと戦えば苦戦は免れまい。それに魔導師としての実力はなのはより上のクロノもいる。おまけにユーノとて一流の範囲に入る魔導師だ。万全とは言わないまでも、十分に強力な戦力であろう。
問題はフェイトが魔法薬でどの程度強化されるか。
「ダピエルトリシン、とか言いましたっけ。それを使うとどれくらい強くなるんですか?」
「一概には言えない。彼女が使うのは非正規品だし、使用する魔導師の素地にもよる。こちらのデータでは魔力総力は二倍、防御、攻撃はおおむね三割程度の上昇とあるが、それですめば御の字だ」
「それは、また」
どうやら別人と考えた方がよさそうだ。五分五分の戦いを繰り広げてきたことを考えると一対一での勝利はまず不可能と考えた方が良さそうだ。だからこそこうしてクロノ達と協力して事に当たるわけだが。
「この六人と僕でフェイトを攪乱、消耗させ動きを止める。が、僕たちだけではおそらく打撃力が足りないだろう。そこで君に隙を見て砲撃してもらいたい。フェレットもどきは……」
「おい!?」
「……間違えた。ユーノ、君は砲撃にあわせて拘束魔法でフェイトの動きを止めてくれ」
「……」
じと目でにらまれたが了解の意と受け取り、クロノは話を進める。
「彼女が抵抗しないようになったらこれを投与する」
懐から取り出されたのは十五センチ前後の金属製の箱だった。クロノが開くと中には試験管のような物に入れられた青色の液体があった。



