創作天文台
文章の二次創作を中心としてオールマイティーに。現在リリカルなのはの二次創作を連載中。極々普通にリンクフリー。
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魔法少年ロジカルなのは5-3(6)
「で、でもさ、あいつのことはどうする?「あ……」2人の中でのあいつと言えば、高町なのは以外にありえなかった。今回やっと1つのジュエルシードを手に入れたものの、未だ7つはなのはの手に握られている。これをどうプレシアに説明するのかとアルフは提案したのだが、次の瞬間には2人そろって同じことを想像してしまった。内容はプライバシーを尊重して秘匿とするが、あえて説明するならば頭文字がキで最後がスだ。間はない。「……な...
魔法少年ロジカルなのは5-3(5)
とある有名家具メーカーが作り上げた黒いソファに腰を沈め、ガラス張りの向こうに浮かぶ三日月を背に、アルフが慣れた手つきで隣に座るフェイトの右手に軟膏を塗っていく。左肩の関節はもうはめ直して固定してある。魔法での治療も行ったが、あくまで本人の治癒能力を高めるものでしかないため、こういった医学的な処置もできるだけ必要なのだ。魔法と医学を上手く組み合わせるにはそれなりの知識が必要だが、アルフは戦闘の全般を...
魔法少年ロジカルなのは5-3(4)
断ろうとすると、なのはは妙な視線を感じて車内に目を向けた。うぃぃぃんと音をたてて開いたドアの向こうですずかが手を振っている。アリサはムスッとした顔だが、あれはごちゃごちゃ言わずに乗れと言っている顔だ。そろそろクラクションも鳴り出して悩んでいる暇はない。なのはは苦笑しながら好意に甘えることにした。「なのはちゃん、あんなところでボーっとしてたらあぶないよ?」「あはは、ごめん」車内ではそれ以降会話はなく...
魔法少女ロジカルなのは5-3(3)
「ふぅ」封時結界が解除されると世界は再び動き出した。街が色を取り戻し、人の波が流れ始める。バリアジャケットを解いたなのはは深くため息を吐いて待機状態のレイジングハートをポケットにしまった。もう夜も深い。そろそろ帰宅しなければ魔王の鉄拳制裁が下されることになるので、なのはも自分の家に向かって歩を進める。「やっちゃった……」戦闘が終わった今ならば多少の後悔も許されるだろう。歩きながら、拘束から滑り抜けら...
魔法少年ロジカルなのは5-3(2)
状況は悪化の一途を辿る。ユーノから見れば状況は凄まじい勢いで好転し続けているのだがそれはいい。なのはがその感触にも耐えてフェイトの上半身を押し上げると、既に唾液が混ざり合ってぐちゃぐちゃになった口と口の間をキラキラひかる細い銀の橋が伝った。ゆっくりと崩れてなのはの唇に垂れる。「な、ななななん……な、なっ!?」意味の分からないリズムを刻みながらなのはは口を拭った。ぬめっとした液体が唇全体に塗りたくられ...
魔法少年ロジカルなのは5-3(1)
さきに我を取り戻したフェイトがどこうとするが、やはり力が入らず上半身が持ち上がらない。鼻は血が固まって詰まっていたので、やがて息が出来なくなってきた。自分をどかすように伝えようとして口を動かす。「ん~!? ん~ん~!!!」当然ながら声が出るはずはなくこもったうめき声が漏れ、なのはの口をフェイトがついばんだように見えるだけだった。後なんかちょっと舌も入り込んでくる。「……んん!!!?」更になま暖かい液...
魔法少年ロジカルなのは5-2(6)
「止まれ、止まれ、止まれ……!」しかしジュエルシードは一向に静まる気配を見せず、轟音をとどろかせながら無差別にエネルギーを発散していく。近くにあった街路樹が焼け焦がされ、道路はアスファルトが熔解して地肌をさらした。一番近くにいるフェイトがその影響を受けないはずはなかった。手の皮が焼け、マントがちぎれ、服が切り刻まれる。「止まれ止まれ止まれ止まれ……!!」(フェイト、もう止めようよ! 封印は無理だ!!)...
魔法少年ロジカルなのは5-2(5)
「あ、あれ?」だがどうしたことか、ジュエルシードは未だに強く光り輝いていた。むしろ光が強くなってすらいる。不思議に思いフェイトを見ると、封印するための魔法が異常に弱弱しくなっていた。なのはとの戦闘で魔力を使い、片腕が使えなくなったフェイトではたかが封印と言えども荷が重かったのだ。(フェ、フェイト!?)「く……ぅうううう!」アルフの呼びかけにも答えられないほど一心不乱に封印をしようとするフェイト。だが...
魔法少年ロジカルなのは5-2(4)
「……じゃあ、二度と戦えないようにしてあげるよ」骨を折るのではなく、砕く。そして腱を断つ。魔法の回復力がどれほどのものなのかは知らないが、身体の治癒能力を高めているだけに過ぎない以上は、それでもう終わりだ。人の身体はあまりに脆い。壊し方を知り抜いたなのはから見ればなおさらだ。少しだけ力を込めれば、ほら。「……っああああああああああああああああ!!!!」ゴキュ。「え?」力を込める前に肩の関節が外れた。フ...
魔法少年ロジカルなのは5-3(3)
左手首がひねり上げられ、左手全体を背中の後ろに回される。足を払われて道路に倒れ、その背中をひざで押さえられて身動きが取れなくなる。形勢は一瞬で逆転した。「あぐっ!」「フェイト!?」悲鳴に反応したアルフがフェイトを助けようとした瞬間、なのはは言葉の拳銃を突きつけてアルフの動きを封じた。「はいそこ、動かない。この子の腕をへし折るよ?」「ぐっ……」フェイトは人体の構造上抵抗ができない形で押さえつけられてい...
魔法少年ロジカルなのは5-1(1~2)
阿呆な事にまたもや修正前の話を投稿してしまうと言う愚挙。修正版と一緒に続きを追加してうpしましたので、5-1を既読の方は脳みそをフォーマットしてくださいorzでは、どうぞ↓――――――――――――――――――――――――――――――(こんな町中で強制発動!?)突如現れた光の柱。黙々と流れていた人の波がにわかにざわめきだっていく。(封時結界、間に合え!)ユーノは自分でも驚くほどの速さで公式を組み立て結界を発動した。街がユーノを中心とし...
魔法少年ロジカルなのは5-2(1)
試験も終わってこれからしばらく悠々自適。プレッシャーが無くなると筆も進む進むw 現金な性格ですが、書けるうちに書いておこうと思います。では本編、どうぞ↓――――――――――――――――――――――――――――――(こんな町中で強制発動!?)突如現れた光の柱。黙々と流れていた人の波がにわかにざわめきだっていく。(封時結界、間に合え!)ユーノは自分でも驚くほどの速さで公式を組み立て結界を発動した。街がユーノを中心としてドーム状に色...
魔法少年ロジカルなのは5-1(6)
「驚くほどたくさんの機能が付いて、ほら、こんなにコンパクト♪」夕刻は過ぎ、ほとんど宵の頃合。巨大な液晶画面が新発売の携帯電話の宣伝を流し、それに負けじとネオンの文字が激しく自己主張する。街が夜の表情に変わっていく。「うーん、タイムアウトかも。そろそろ帰らないと」腕まくりをして時計を見ると、小学生が出歩くには危ない時間になりつつあった。不良に絡まれるような類のことならば簡単に解決できても、警察に補導...
魔法少年ロジカルなのは5-1(5)
鳴海市は港町としてそれなりの歴史があるのだが、その分商店街や町並みには煩雑な部分もあった。そのため中央区では大分前から区画整備が進んでおり、フェイトが仮住まいとするマンションもその計画の中で立てられたものだ。最新の技術を駆使して建築された高層集合住宅は、魔道建築学というこの世界には存在すらしない技術で作られたミッドチルダのものと比べるとかなり型遅れだったが、それでも高層ビルがほとんどない鳴海市では...
魔法少年ロジカルなのは5-1(4)
(そっか。けんかしちゃったんだ)「他人事みたいに行ってるけど、原因はユーノ君が私をジュエルシードの事件に巻き込んだことだって忘れないでね」(……ごめん)ユーノは素直に頭を下げた。確かになのはは善意の協力者で、例え善意の結果が人間失格ラインを大きく飛び越えた行動であろうとも、その目的は友人や家族との穏やかな日常を守るためだ。決して自分の欲望を叶えるためではなく、純粋に他人のためだけに戦えるなのはは、そ...
魔法少年ロジカルなのは5-1(3)
授業も終わり、なのははかばんの中に教科書やノートを詰めていった。普段は手早く片付けてアリサたちと帰るのだが、今日はその手の動きも遅い。かばんを背負ったのは教室の中もまばらになった頃だった。先に帰る準備を終えたすずかが教室を出る前に振り返った。「じゃあなのはちゃん、ごめんね。今日は私たちお稽古の日だから」「夜遅くまでなんだよね。いってらっしゃい、がんばってね」「……」アリサは無言で去っていってしまう。...
魔法少年ロジカルなのは5-1(2)
「アリサちゃん、一緒にご飯食べ……」「行こう、すずか」にべもなくアリサは立ち上がり教室を出て行った。1人残されたなのはのそばにすずかが近寄る。「すっかり怒っちゃってるね」「うぅ……」朝からずっとこんな調子だった。いつものバス通学ではなく車で別々に登校したことから始まり、授業中目を合わせても無視、休み時間話しかけても無視。今までけんかは何度もしてきたが、いつもアリサの側からケンカを初め、アリサの側から仲...
魔法少年ロジカルなのは5-1(1)
「……」地面からわずかだけ体を浮かせて停止する。一風変わった瞑想のようなこの行為は、魔導師の間ではどんな世界でも割りとポピュラーな練習方法だ。初めて宙へ浮くことへの恐怖心やバランスの保ち方をまずは低空で養うのが目的だ。なのはの場合は恐怖心は無きに等しいしバランス感覚も優れているのでもう少し高レベルの練習になる。㎜単位での高度調整や平行移動、持久力といったものを強化しようとしていた。「……ふぅ」この練習...