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魔法少年ロジカルなのは9-3(2)

なのははぐいと後頭部を押され、お辞儀のような格好でかごの中を見る。反転した視界の中でやっと痛々しい包帯やギブスもはずれ、綺麗になったネコと目が合った。「……あれ?」なのはが言葉尻に疑問符をつけたのは、いつもの高飛車な雰囲気がなりを潜めていたからだった。かごの中で身をくるめながら、なのはをじっと見る猫の態度は単なる拒絶ではなかった。「……怖いんだね」一ヶ月以上寝床にしてきたかごから別の新品に移され、環境...

魔法少年ロジカルなのは9-3(1)

私は優しくなんかない。強くもない。ただの怖がり。失うことを怖がる、自分勝手な弱虫。――――――――――――――――――――――――――――――「ふぅ……」槙原動物病院の待合室で、なのはは激しく脈打つ心臓を静めようと十六度目になる深呼吸をしたが、十秒もしない内に呼吸は乱れた。これを焼け石に水と呼ばずしてなんと呼ぼうか、とにかくなのはは緊張していた。説明する必要もないだろう、なのはが病院の手伝いを始めてから一ヶ月と更に二週間、ついに...

魔法少年ロジカルなのは9-2(6)

「男の子、かぁ……」答えを聞いてもまだ納得できないらしく、首をかしげながら去っていく女医の背中を見送りながら、アリサは「この場になのはがいたらきっと半泣きよね」と笑った。だが普段は気丈で通っているアリサでも、いつものようにはいられずに、影の指した歯切れの悪い笑顔になってしまう。「とりあえずなのはちゃんのそばに行こっか」そのことについてすずかはあえて何も言わず、別の建設的な提案を試みた。「そうね。目が...

魔法少年ロジカルなのは9-2(5)

「べ、べべべべ別になにもしてないんだよ! なのはがいきなりアルフの首を絞めたかと思ったらあんなことに……っていうかボクよりまずアルフに聞くべきでしょ状況証拠的に考えて!!!?」「アルフにはクロノって人が聞いてくれてるわよ」アリサの言葉どおり、アルフに対する事情聴取はクロノがおこなっている。というより、アリサたちがユーノを無理やり引っ張って行ったのでこの役割分担になったのだが。実体のないクロノのほうが...

魔法少年ロジカルなのは9-2(4)

「おい佐藤、あんまりカリカリすんなよ」「分かってるよ」なのはが呆然としている内に彼らの声は遠ざかり、道の向こうへと消えていく。彼らの姿が完全に見えなくなったころ、なのははやっと自分の心臓がどくどくと暴れていることに気がつき、深く息を吸って呼吸を整えた。「な、なんだったのかな」まるで嵐のように去っていった四人は、そういえば聖祥付属中学校の制服を着ていた。つまるところ、なんていう回りくどい言い方をしな...

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Author:館長
住所・東北出身東北住まい。

職業・学生かも知れないし社会人かも知れないしNEETかもしれな(ry

趣味・読書、ネット巡り、雑学収集、アニメ鑑賞等々。

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