創作天文台

「た、大変っ……！」なのはは弾かれるように走り出した。しかしネコがどこに行ってしまったか見当も付かない。今すぐ自分の頭を殴りつけたい気分だった。だがそんな自虐行為がネコを見つけることに役立ってくれるわけでもなく、なのはは後悔を頭からはじき出してとにかく足を動かす。目まぐるしく変わる景色の中で白い毛並みだけを探す。いない、どこにもいない。心臓が早鐘を打つ。不安が混乱に変わって視界が狭窄する。「はっ、は...

「ネコをね、飼おうとしてたんだ、昔」なのはは静かに語りだした。「え？　そんな話聞いてないわよ？」「それはそうだよ。ちょうど一年生の最初の頃だったから、まだ二人と友達になる前の話だね」クラスメイトだったから顔くらいは知ってたけど、となのはは付け加えた。「その子を最初に見つけたのは臨海公園で、怪我をしててベンチの下にうずくまってたんだ。私はすぐにその子を槙原先生の病院に連れて行った」「槙原先生って、ユ...