魔法少年ロジカルなのは5-3(1)

さきに我を取り戻したフェイトがどこうとするが、やはり力が入らず上半身が持ち上がらない。鼻は血が固まって詰まっていたので、やがて息が出来なくなってきた。自分をどかすように伝えようとして口を動かす。

「ん～！？　ん～ん～！！！」

当然ながら声が出るはずはなくこもったうめき声が漏れ、なのはの口をフェイトがついばんだように見えるだけだった。後なんかちょっと舌も入り込んでくる。

「……んん！！！？」

更になま暖かい液体が口の中に流れ込んでくるにいたって、やっとなのはも意識を取り戻した。両肩を突き飛ばして身体を離そうとするとフェイトに激痛が走り、余計に口が情熱的になのはに押しつけられた。

「んんぅん！？」

頭の中をスパークさせながらなのはは気付いた。そうだ、肩が駄目なら別の場所を押せばいいじゃないか。
そしてフェイトの身体がのしかかった今、腕の可動範囲に入っていてかつ押しやすい場所を検索する。首。届かない。腰。届かない。脇腹。微妙に届かない。残るは――胸。
さて、確かに胸は『腕の可動範囲に入っていてかつ押しやすい場所』だったのだのだが、なのはの記憶回路では一つのデータがクラッシュしていた。フェイトのバリアジャケットはヘソから鎖骨にかけて丸見えなのだ。
手を付けた瞬間なのはの掌には控えめながらもふよっと柔らかい感触が伝わり、フェイトは痛いようなむずかゆいような気持ちが良いような感覚が電撃的に体中を駆け抜けた。

「んんんぁっ……！」

状況は悪化の一途を辿る。ユーノから見れば状況は凄まじい勢いで好転し続けているのだがそれはいい。
なのはがその感触にも耐えてフェイトと離れると、既に唾液が混ざり合ってぐちゃぐちゃになった口と口の間をキラキラひかる細い銀の橋が伝った。

「な、ななななん……な、なっ！？」

意味の分からないリズムを刻みながらなのはは口を拭った。ぬめっとした液体が唇全体に塗りたくられる。またもや逆効果だった。




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コメントで謝ったら負けかと思ってるくらいの気概でやってみろとの声をいただいたので、やってみました。

……どうみても（ありとあらゆる意味で）ギリギリです。本当にありがとうございました。