魔法少年ロジカルなのは9-3(5)

「うう、苦節一ヶ月、やっとなついてくれたよ」

頭をそっと撫でると、さらりとした毛ざわりが心地よかった。このままずっとこうしていたかったが、せっかく懐いてくれたネコが鬱陶しがられてはたまらない。誘惑を振り切って手を止める。
するとネコは陽気に当てられたのか、徐々に目を閉じて、やがて昼寝を始める。その様子があまりに穏やかだったので、

「あ、しまった」

動けなくなってしまうことになのはが気づいたとき、猫は完全に熟睡モードになっていた。

「……わざわざ起こすこともないか」

苦笑交じりのため息をついて、空を仰げば吸い込まれてしまいそうな青空が広がっていた。思案の海に落ちていくように、意識がゆっくりと溶けていく。

（だめだよ、起きていないと）

なのはは自分に言い聞かせる。ここで寝てしまったらどうなるか知っているからだ。しかしいくら声をかけてもなのはが目を覚ますことはない。

（ほら、早く起き……？）

そしてなのはは、”そこにいる自分”と今の自分の乖離を認識した。

（そっか、これは）

夢だ。





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「……ん」

青空の向こうに引っ張り上げられるような目覚めだった。まどろんでいた意識がまとまっていく。青空は大きな木目の板と入れ替わっていて、板と天井という言葉が結びついたとき、聞きなれた声が耳に入ってきた。

「あ、起きた！」