魔法少年ロジカルなのは9-3(6)

青空の向こうに引っ張り上げられるような目覚めだった。まどろんでいた意識がまとまっていく。青空は大きな木目の板と入れ替わっていて、板と天井という言葉が結びついたとき、聞きなれた声が耳に入ってきた。

「あ、起きたわよ！」
「なのはちゃん大丈夫？」
「アリサちゃん、すずかちゃん……」
「もう、いきなり倒れるから心配したのよ！？」
「倒れた？　……ああ」

今私がこうしているに至る経緯を思い出すのに、それほど苦労はしなかった。あの使い魔が口走った言葉に我を失った私は彼女の口を閉じさせようと実力行使に出て、その結果がこれだった。とっくにふさがっていたと思っていた心の傷を、私は今も女々しく引きずっていたらしい。情けないとしか言いようがない。
自嘲しながらとりあえず起き上がろうと腕に力を込めると、アリサちゃんに肩を抑えられた。さらりとした金髪が私の頬にかかった。

「まだ休んでなさいよ。お医者さんも疲れてるって言ってたし」
「お医者さんも呼んでくれたんだ……ごめんね、これ以上迷惑かけないから」
「またあんたはそうやって……！」

怒り出すアリサちゃんを、すずかちゃんがそれとなくさえぎる。

「ねえなのはちゃん、迷惑かけたと思ってくれるなら私たちの言うことも聞いてくれないかな？」
「……わかった」

そう言われてしまうと私は何もいえなくなってしまう。さすがすずかちゃん、口が上手い。私もよく大人びているといわれるけれど、すずかちゃんも相当なものだと思う。

「どれくらい寝てたのかな」
「５時間くらいだよ」
「と言うことはもう夕方か……ユーノ君は？」
「アルフさんの治療をしてるわよ。なんでいきなりあんなことしたわけ？」
「あれ？　二人はあの場にいなかったんじゃ……」

訊ねると二人は少しばつの悪そうな顔になる。

「カメラをね、ちょっと」
「……な、なんでそんなもの」