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魔法少年ロジカルなのは がいでん

時期をことごとく外して、バレンタイン用の特別編。
しかもまだ前編だけ。

どぞ。

――――――――――――――――――――――――――――――

ヴァレンタイン。聖ヴァレンティヌスの命日だかなんだかと言われているが、過去の中年おっさんの命日も、今となっては若い男女が愛を語らう一大イベントである。特に日本という極東の島国では、殆ど原型をとどめないまでに変形された慣習が根付いていた。

それ則ち「女の子が好きな男の子にチョコをあげる」。

製菓会社の陰謀だのなんだの言われている、ありがたみなんざ欠片もない日ではあったが、恋する少年少女にとってはそういった祝日があることだけが重要だった。
もとより多神教で祭りを好む性質にある日本人だ。発祥の地ヨーロッパではさして盛り上がるわけでもないこの祝日に、数限りない恋愛劇が繰り広げられる。

さて。

ここから語る物語は恋にも及ばぬ一歩手前、どたばた騒ぎの笑劇喜劇。
舞台は日本、海鳴市。私立聖祥大学付属小学校。
ヒロインは小学二年生の天才少女、アリサ・バニングス。
ヒーロー失格・魔法少年の物語に添えて。




開幕。




――――――――――――――――――――――――――――――





授業も終わって放課後。
今日もすずかとなのはと私、三人で帰ろうと思ったんだけど、私が教室に筆箱を忘れる、なんてミスをしてしまった。
二人は待ってくれるというので、私は教室に戻って来ている。

「え~、宮本君にあげるの!?」
「競争率高そうだよ~?」
「だよね。去年なんか持ちきれないって感じだったもん」
「でも……だめでもともとだし……」
「健気だねえ、あんたも」

そんな会話が耳に入ってきた。
出来ればこんな話聞きたくないけど、どうせ今日と明日は学校中がこの話題で持ちきりだし。
早く筆箱を回収して学校を出るのが一番早い。

「それでアリサは誰にあげるの?」
「へ? わ、私?」

恵美が突然話題を振ってきて、思わずどもった。

「別に誰にも」

適当に答えを返す。
顔を真っ赤にしながら「宮本君に……」なんて答えてた佐々木さんとは逆の意味でオーソドックスな答えだ。

「甘い、甘いわよアリサ!」

突然恵美が私の机に両手を振り下ろし、力強く叫んだ。
凄い迫力で私を見てくる。いや、恵美、あんたなんでそんなに本気になってるの?

「な、何が?」
「バレンタインデー。それは聖なる日、カップルのカップルによるカップルのための祝日!」
「日本のお菓子メーカーの販売戦略でしょ。これほど成功した例は確かに興味深いけど」

恵美は人差し指を立てて左右に振り、「ちっちっち」と舌を鳴らした。

「若いわね。若すぎるわ、アリサ。若さ故の過ちよ。
 いい? そんな裏側なんてどうでも良いの。あんたが今言っていることはスターウォーズを観て『宇宙空間では音しないんじゃね?』『ビームは光速なのに避けられるのはおかしくね?』って言うくらい無粋。重要なのは好きな男子にチョコをあげる、このイベントを目一杯楽しむことにあるわ」
「っていうか私若いんだけど、実際」
「若さを言い訳にするな!」

バッチーン。
私のほっぺたの近くで、恵美は自分の左手を右手でビンタした。
なんなんだろ、このテンション。

「いーい? 青春は短いの。ほっぺにチュウくらいで真っ赤になるのが青春クオリティなのよ。かのキテレツ大百科でも『はじめてーのーチュウー♪君とチュウー♪ フフフッ♪』って歌ってるでしょ。あのちょっと気持ち悪い『フフフッ♪』が肝よ。若さに身を任せて恋を楽しみなさい!」
「恵美、あんた言ってることが二転三転でんぐりがえししてるわよ」

さっき若さを言い訳にするなって言ってたじゃん。

「それはそれ、これはこれ!」
「はぁ……なによそれ。別にどうでも良いじゃない、あげようがあげまいが。私だって好きな人が出来たらそうするわよ」
「およ? とすると何かねアリサ君、君は今好きな人がいないと?」
「当たり前じゃない」
「本当かな~?」

恵美はあごに手を当て、品定めするように私の顔を見回す。
別に怖じ気づくようなことは何もなかったので、恵美の顔を見返してやった。
栗色のショートカットとぱっちり開いた目。ふざけてる割に女の私から見ても結構可愛い、栗田恵美がそこにいた。
小学低学年にしては背も高いし、男子の間では可愛い子トップ5にランクインしてる。
ランクインするだけの実力は私も認めてるけど、ただ、人を小馬鹿にしたようなにへらにへらした笑顔がリアルタイムで非常にむかついた。

「んふ~、んふふ~♪」
「……なによ」
「いやいや、何でもないよん? ……そっかそっか、好きな人いないんだ」

恵美がこういう顔をしているときは、何か良からぬことを企んでいる時の顔だ。

「……言いたいことがあるなら言えば?」
「ややや、別に大したことじゃないよ。ただ……」
「ただ?」

「私、高町君にチョコあげちゃおうかな、なんて」

「―――っんな!!!?」

不意をつくように出てきたなのはの名前に、私は机に両手を叩きつけて立ち上がった。
椅子が後ろに倒れて大きな音を立て、周りの女子達がびくりと震える。
にもかかわらず恵美は相変わらず飄々とした顔で私のことを見下ろしていた。

「なんでそこでなのはが出てくんのよ! 関係ないでしょ!!」

思わず叫んでいた。自分でも驚くくらいの大声だ。
恵美はそれを聞くと、これ以上ないくらい会心の笑みを浮かべて、



「あれ? 私高町”なのは”君だなんて一言も言ってないよ?」



なんて言ってくれた。

「っ……!」

はめられた。気付いたけれどもう遅い。

「べ、別に。このクラスで高町って言ったらなのはぐらいしかいないじゃない」
「ふーん。まぁいいや。とにかく私は高町君にチョコあげるよ」
「だ、だめよ」
「だめって、どうして?」
「そ……それは……」
「ふっふっふ。私みたいな美少女がチョコあげると、高町君取られちゃうと思ってるでしょ? 分かる分かる。だってワタシ学年美少女ランキングトップ5だしー?」

自信満々に言い放つ恵美は確かに可愛い。トップ5というのもホントだし。
ちなみに残りのメンバーは、さっきから後ろでびくびくしてる健気な美少女佐々木さんと、自他共に認める美少女、私、アリサ・バニングス。そしてお嬢様系のすずか。
その一人にチョコを渡されたりした、いくらなのはだって……
ちょっと不安になったりもしたけど、ここで引くわけにはいかなかった。

「あ、あげればいいじゃないチョコぐらい!」
「へえ? 大きく出たじゃない。強がりもそこまでいけば立派なもんね」
「強がりじゃない!」
「んなこと言って、本当はどう思ってるんだか」
「これが本心よ!」
「そんなにムキにならないでさ、ほら、本当のこと言っちゃえ」
「う、うう……」

違う。私は別になのはのこと……その、そんな風には思ってない。
一緒にいるとちょっと楽しいだけの、ただの友達だ。
友達の……はず……だけど……

……はっ!?

あ、危ない。こうやって追いつめられると何にも考えられなくなるのが私の悪い癖だ。
でも、恋愛の話で恵美をごまかすのは難しい。というより恋愛に限らず話すのが上手いタイプなんだ、恵美は。 

「ほら、ア・リ・サ」
「う……」

こうなったら―――爆弾を使うしかない。禁断の、爆弾を。

「うるさいうるさいうるさいっ!! どーせあんたなんか、なのはに相手にされるわけないわよ!」
「なにぃ!? き、聞き捨てならないことを言ってくれるね、アリサ。そんな根拠が何処に……」
「根拠ならあるわよ」
「そんなのあるわけな……まさか!?」

そこで私が何を言おうとしているのかに気付いたのか、恵美の表情から笑みが消える。

「アリサ、やめっ」

でももう遅い。半分自爆になっちゃうけど、このまま恵美のえさになるよりはずっとマシだ。
恵美は私を止めることを諦めて、耳を塞ぐことにしたみたいだ。
私はその防壁を突破すべく息を大きく吸い込んで、




「なのはよりも人気低いじゃない!!」
「……かはっ!!!」




爆弾は見事に大爆発した。
直撃を受けた恵美はムンクの叫びっぽい顔になって後ろの机を巻き込みながら倒れ、教室にいた女子という女子が胸を押さえて膝をついた。
はっきり言ってただのとばっちりだ。心の中で謝っておく。でも恨むんならなのはを恨んでよね。

「……ふっ、恵美、まだまだ甘いわね」

爆心地で勝利宣言をあげる。
もちろん私自身も爆弾の威力でぼろぼろだ。主にプライドが。
本当に捨て身の自爆攻撃だった。

「ア、アリサ……禁断のネタを……」

そう。人気の女子トップ5。残る一人にしてダントツの人気を誇るのがなのはだ。
理由? そんなもん分かってたまるもんですか。
黒歴史よ黒歴史。

「む、無念……」
「私をからかったことがあんたの敗因ね」

返事がない。ただの屍のようだ。
おお恵美よ、しんでしまうとはなさけない。

とりあえず敵がいなくなったので、机の中から本来の目的である筆箱をとる。

「……み、みんな大丈夫?」
「ほっときなさいよ佐々木さん。どうせ時間が経てば復活するわ」

唯一被害を免れてわたわたしている佐々木さんに、それだけ伝えて教室を出た。
さすが宮本君一筋の佐々木さんだ。いくら男のなのはより低くランキングされたとしても、これっぽっちも興味ないのだろう。
と、背後で精神的にひん死の恵美が死力を振り絞ったって感じで立ち上がる。

「ふ、ふふふ……」
「まだ起きてたの? あんたも頑丈ね」
「アリサ、ここは素直に負けを認めよう。だが、いずれにしろ貴様はこのバレンタインデーといく大問題に直面することになる。せいぜい今のうちにあがくがいい。ハーッハッハッハ!!」
「……キャラ見失ってない?」
「そんなことはないでありましょうぞ! ウェーッハッハッハッハ!!!」
「……」

とりあえず、とどめ。

「なのはよりも人気低いくせに」
「ゴッハァ……!」




――――――――――――――――――――――――――――――




「あ、アリサちゃん。筆箱あった? ちょっと時間がかかったみたいだけど……」
「筆箱自体はすぐに見つかったわ。変な奴に絡まれたから時間かかっただけ。……あれ、なのはは?」
「翠屋の手伝い頼まれてたから今日は帰るって」
「翠屋? 珍しいわね。なのはが手伝うことなんて滅多にないじゃない」
「ほら、明日バレンタインデーだからチョコレートをたくさん作らないといけないんだよ」
「ふーん……そっか。だったら鮫島呼ぶわ」

携帯を鞄から出して鮫島専用ダイアルを押す。これで五分以内には来てくれるはずだ。

「……ん?」

ふとすずかと目が合う。すずかは私のことを少し不思議そうな顔で見ていた。

「どうかした?」
「アリサちゃん、今日は怒らないんだ」
「は? どうして私が怒らなきゃいけないのよ」
「いつもはなのはちゃんが一人で帰ると怒るでしょ? 『なのはのやつ、そんなに私たちと帰るのが嫌かー!』って」
「そ、そんなこと……!」

ない……とも言い切れない、けど、さ。

「それくらいは聞き分けられるわよ。なのはだって家の都合くらいあるでしょ」
「うわぁ……アリサちゃん、大人になったね」
「……それは暗に今まで私がこどもだったと言いたいの?」
「え、いや、その」
「成敗!」

すずかの頭にロックをかけてぎゅうぎゅう締め付ける。
もちろん手加減はしてるけど、今日はいつもより割と強めにした。

「痛い痛い痛い、は~な~し~て~!」
「今度からは発言に気を付けなさい」

すずかを解放してから、ふと考える。
今までなのはは当たり前みたいに私たちと話したり遊んだりしてくれたけど、なのはだってなのはの都合があるんだってこと。
今までもそれが分かっていて、その上でなのはを引っ張り回していた。
もちろん、なのはに謝るつもりなんかない。
楽しくなかったとか辛かったとか言わせるつもりはないし、なのはの笑った顔も何度も見てきた。その笑顔の大半は、私とすずかで作った確信もある。
だけどなのはも私達に笑顔をくれた。それこそなのはが笑った倍は、私は心の底から笑った。
好きとか、好きじゃないとか、そういうことは分からないけど。
なのはは私にとって―――

さっきの恵美との会話がこびりついて離れようとしない。

明日。2月14日。バレンタインデー。チョコレート。なのは。
―――それでアリサは誰にあげるの?

「私は……」
「……リサちゃん、アリサちゃん、鮫島さんが来たよ?」
「へ? あ、ああ、うん」

考えに集中しすぎていたみたいだ。
気付けばリムジンはもう私の目の前に停まっていて、鮫島がドアを開けていた。
ぼーっとした意識のまま乗り込む。いつものように、すずかも左側に乗った。

ブロロロロ……

流れ始めるガラス越しの風景。さすがに高級車(とお父さんが言っていた)だけあって、エンジンの揺れは全然伝わってこない。
だけどその分私が動いているという感覚がなくなって不思議な感じだ。
ガラスに頭を預けながら、何処までも青い空に黄昏れてみたり。

あ、私ちょっとヒロインっぽい……

「時にお嬢様、巷は明日のバレンタインデーでにぎわっておりますが、お嬢様はどなたか意中の男性はいらっしゃるので?」

ゴツン!

「……っ~~~!」

ガラスにぶつけたおでこを押さえて少しの間悶絶する。
いきなり何を言ってるのだろうかこの運転手は。

「アリサちゃんはなのはちゃんにあげるみたいですよ?」
「ほう、あの高町家のご子息ですか。いやはやお嬢様もいつの間にやら大人になられて……」
「勝手に話を進めないでよ!!」

追加。何を言ってるんだろうかこの運転手と親友は。

「あれ? アリサちゃんはあげないの?」
「あげるわけないでしょあんな奴!」
「いつも一緒に居るのに?」
「そ、それはあんたがいるから」
「朝も待ってるよね。毎日」
「……」
「……」
「……」
「……ね?」
「べ、別に良いでしょうそんなこと!」

だめだ。すずかもちょっと前までただの泣き虫だったのに、いつからこんなに強くなったんだかわからない。

「そ、そういうすずかはどうなのよ?」
「わたし?」

自分のことを指して聞いてくる。
どうよ。私をからかう事ばっかりに夢中になって、自分のことは考えてなかったんじゃない。
でもちょっとだけ安心しながら、私は両手を組んでふふんと胸を張った。


「なのはちゃんにあげるけど」


「んなっ……!」

ゴヅン!

「っ~!! っ~!!!」

後頭部に電撃。頭の後ろを押さえて、痛みを紛らわすために足をじたばたさせた。
だめだ。全然和らがない。
私はしばらく車の中で上半身オンリーの不思議ダンスを繰り返し、痛みが引くのを待った。

「……な、なんであんたまであんな奴に!?」
「だって仲のいい男の子ってなのはちゃんくらいしかいないし、それにこの前なのはちゃんがチョコの作り方教えてくれたから、そのお返ししないと」
「だ、だってバレンタインよ? チョコレートよ? そんなあっさり渡しちゃっていいわけ?」
「別にそんな深刻に考えなくてもいいんじゃないかな」

そ、そんなものなの?
でも、学校ではおしとやかで通ってるすずかがあげるって事は、むしろあげない方が不自然なんじゃ……




――――――――――――――――――――――――――――――




「うぅ……」

考え事をしていたら、いつの間にかすずかと別れて、私は自分の部屋に着いていた。
むしゃくしゃしたからベットに飛び込んで毛布を叩いてみた。ぎしぎしベットが軋む。むしゃくしゃは全然なくならない。

「どうしよ……」

こんなのだったらこの前やった二元連立方程式の方がよっぽど簡単だった。
あの時はなのはに教えてもらえたけど、今度ばっかりはそんなわけにもいかない。

「う~……」

身体を横にしたまま右に左にごろんごろん。
頭の中が程良く混ざって、よけいぐちゃぐちゃになった。

「ふざけんじゃないわよ日本の製菓会社……聖人が死んだ日に訳の分からないイベント考えるんじゃないっつーの」

お父さんはこの販売戦略に「これを考えた人間は天才だ。ぜひ我が社に欲しい」とか目を輝かせてたけど、その販売戦略に巻き込まれる本人の身にもなって欲しい。

チャリン……

「ん?」

ポケットの中からそんな音がした。
手を突っ込んでみると、中には古ぼけた十円玉が二枚入っていた。
裏に彫られた10の数字と、表に彫られた宇治平等院鳳凰堂。

「もういいや、これで決めよ」

コイントス。ワールドカップだって試合の前にはこれで先攻を決めてたはずだ。確か。
だったらチョコをあげるかあげないかの選択だってやってもいいと思う。
上半身を起こして、親指を人差し指に隠すように手を握る。
そういえばなのはに武道を教えてもらった時、一番最初にやったのが手の握り方だった。
親指を中に隠してしまうとパンチが当たった時に親指が折れてしまうらしい。
……いや、なんでここでなのはが出てくるのよ。

「別にどうでもいいじゃない、そんなこと」

十円玉をその上に乗せ、指を弾いた。
ピーンと鳴りながら十円玉は空中に上がって、くるくる回りながらカーペットの上に……




――――――――――――――――――――――――――――――




「ん、これくらいかな」

家のキッチン。テーブルの上に並ぶチョコチョコチョコ、そしてチョコ。
アリサちゃん達を置いて一人で家に帰ってきて、三時から七時まで延々作り続けた戦果だった。
大小併せて三百個は超えた。用意した七キロの調理用チョコレートは綺麗にちゃんとしたチョコレートになった。

「あとはこれ全部袋に包まないとな……」

小さいチョコは数十個単位で箱に詰めるからそんなに大変じゃないけど。

「二人の分は丁寧にやらないとね」

すずかちゃんと、アリサちゃん。
今までさんざん教え込まれて、いつの間にかお菓子に関しては母さんよりも私の方が得意だ。
そして二人の分は特別。私ができる中で最高のチョコを作った。
私が言うのも何だけど、ちょっと高そうなお店で売っているチョコよりも美味しいと思う。

「さすがなのは、凄いね」
「あ、お姉ちゃん」

後ろからお姉ちゃんがのぞいてきた。

「一体いくつ作ったの?」
「大体三百個くらい」
「うひゃー。そんなに作って誰にあげるの?」
「とりあえずクラスの子達と学年の子達に。それで全部なくなるよ。あ、もちろんお姉ちゃんとお兄ちゃんにも用意してるからね」
「あはは、ありがと。なのはも律儀だねっ……と。この二つは何? 明らかに豪華だけど」
「あ、そ、それ? ちょっと友達に……」

お姉ちゃんはニヤリと笑って、ははーんと顔を寄せてきた。
姉弟の私から見ても美人の顔が近づく。

「アリサちゃんとすずかちゃんだな~?」
「ま、まぁ……ね」

別に友達として渡すだけだから、そんなに隠すことでもないんだけど……やっぱりちょっと恥ずかしい。

「仲がいいことで。でもなのは、二股はいけないぞ?」
「そんなんじゃないってば!!」
「そうかな? なのはって、自分で思ってるよりも結構……」

そこでお姉ちゃんは言葉を止めた。
「やっぱいいや。なんでもない」と、私に背中を向けてテレビのリモコンを取ってしまう。

「お姉ちゃん気になるよ。なに?」
「分かってない方が面白いのよ」
「もう……」

こういうモードのお姉ちゃんは問いつめるだけ時間の無駄だ。
まだ包装も終わってないから、私は早く済ませてしまうことにした。

「あれ?」
「今度は何?」
「いやちょっと思ったんだけどさ」
「だから何?」
「……なのはって、男の子だよね?」

む。なんか気になる言い方だな。私は正真正銘、男の子だ。
ちょっと怒った顔をしてみる。

「改めて言う必要もないよ。どう見たって男の子でしょ!」
「いや、我が弟ながらどう見ても女の子だけど……」
「む……納得いかないけど、それでなに?」
「明日さ、バレンタインデーでしょ?」
「うん」


「女の子が男の子にあげるものじゃないの?」



あ。




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