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魔法少年ロジカルなのは2-4(4)

『どこに行くの? 今日は私と遊んでくれるんじゃなかったの?』
「アリサちゃん!」

意識はないと思っていたアリサが少しさびしそうに話しかけてきた。まるでトンネルの中のように声が反響する。

『今日はなのはは私のモノ。どこにも行っちゃ……やだよ』

根が動き、なのはとアリサの距離が縮む。
アリサに正気はなかった。嫉妬心とすら言えない幼い感情が自制なく吐き出される。おかげで何の飾り気もない本心を伝えられたが、純粋な独占欲は状況を無視してなのはを拘束し続ける。

「アリサちゃん、今はそれどころじゃ……」
『やだ! どこにも行っちゃやだ!!』

まるで駄々をこねる子供だった。アリサは感情のままにしゃべっているだけだ。ジュエルシードの能力はそれを手助けしているに過ぎない。
普段は恥ずかしさが邪魔をして出てこないような言葉があっさりとのどを通る。普段のアリサに一番足りないアプローチはこの素直さだった。これさえ足りていれば、近いうちに証拠に戦闘中で極度に集中しているなのはをして、しかも正気でないと分かっているのに、今にも泣き出しそうな顔にはどきりとしたのだ。もし映画館を出てすぐのタイミングだったならばどうなっただろう。

「アリサちゃん……」
(なのは、急いで!!)

ユーノの悲痛な叫びが現実に引き戻す。
そうだ。こんなところで手間取っている場合ではない。ジュエルシードを封印するしない如何に親友の命がかかっているのだ。
木の根はどんどん寄り集まりその拘束を強めている。もう力押しでは間に合わない。ならばジュエルシード自身に開放を促す必要がある。どうやって? ジュエルシードに意思はない。おそらく発動した人間の意志が最も強い命令権を持っている。ならばアリサを説得するのが早道なのではないか。
いかに目的を達成するか、という考え方でとるべき行動を導き出す。
迷っている暇はない。ゲームのようにポーズ機能はついていないのだ。

「ねえアリサちゃん、私はどこにも行かないよ」
『……ほんと?』

アリサの顔がぱぁっと明るくなる。

「うん。だけど今はすずかちゃんを助けないといけないから、その間だけ少し離れないといけないの」

それを聞いたとたんにアリサの顔は沈んだ。手持ち無沙汰に人差し指を唇にあて、きょろきょろ視線をさまよわせる。
精神年齢まで後退しているようだ。

『すずか? すずか……でも、なのはぁ……』

突然出てきた親友の名前にうろたえる。呼応して木の根の拘束も緩んだ。
いける。なのはは確信を得た。残るは最後の一押しだけだ。

「大丈夫。アリサちゃんが捕まえなくても、私はどこにも行かないよ」
「だから、ね?」

打算的に、かつ感情的に、私の大事な友達にふさわしい微笑を。

『あ……』

なのはが普段から不断の努力でなんとかしようとしている男っぽさ絶無の可憐な容姿が花のように微笑めば、それはもう必殺だ。この微笑に堕とされた青少年が何人いることか。
聖母のような慈愛に包まれて、アリサは意識を失った。同時に願望が消え失せ、媒体として能力がなくなる。
ジュエルシードはアリサの手の中から逃れて繭の外に出てくる。新しい宿主を探しているのだろうが、致命的なまでに無防備だ。所詮は願いをかなえることだけが目的の宝石もどき。戦いは力押し以外できないようだ。
木の根の縛りはすでに無意味なレベルにまで低下していた。押さえつけようとする力は消えてなくなり、なのはの両腕は自由を得る。

「今だっ……! ジュエルシード、封印!!」

レイジングハートから放たれる桜色の光水。
シューティングモードがスナイパーライフルなら、これはショットガンに分類されるのだろう。半径1mの射撃面がジュエルシードに達した光景は、当たったというよりも飲み込んだ、だった。
時間がなかったので消費を無視して出力を上げ、一気にジュエルシードを押し込む。二秒もしないうちに抵抗はなくなった。

魔力の供給源を失って、巨木はあっという間に光の粒子になっていった。支えがなくなり、意識を失ったまま落下していくアリサを抱きとめる。
かわいらしいアリサの寝顔をこのまま眺めていたい気分だったがそうもいかない。すぐに次のターゲットに視線を移す。
なのはがもうひとつの封印をしている間に、巨木はますます成長していた。コアとの間を数え切れないほどの根がさえぎりあらゆる物の接近を拒んでいる。
距離は1km以上。大分離れてしまっている。

(あと三十秒を切ったよ! ほんとに間に合うの!?)
「間に合わせなきゃいけない」
(でもあれだけ根が邪魔すると、もう接近も遠距離射撃もできないんじゃ……)

ユーノの心配は正しい。近づこうにもなのはの反射神経でも根をすべて避けることは不可能だし、すでに魔力は半分以下、射撃で封印しきるのは分の悪すぎる賭けだ。
しかし迷いはなかった。

「だから接近して、撃ち抜く」
(ええっ!?)
「レイジングハート、シューティングモードへ移行。ターゲット、前方ジュエルシード! カウント10、スタンバイ!!」
『All light.』
「十秒で、終わらせる」

一度地面降りてアリサをビルの柱によっかからせると、再び上昇して正面から巨木を見据える。
ショットガンでは距離が足りない、ライフルでは威力が足りない。ならば自らが弾丸となり、食い込んだところで止めを刺すまでだ。
レイジングハートを突き出して構え、その先端にほとんどの魔力を廻す。残った魔力は足に集中。意識を保つギリギリまで魔力を搾り出した。

あとは―――突撃。

「カウントスタート!!」

景色が吹っ飛んだ。
あまりの速度に反応できていない根をごぼう抜きにしながらジュエルシードへの距離が縮んでいく。

『9,8,7...』

進路上にあったいくつかの根は貫いた。粒子になって霧散するプロセスすら与えられずに、接触した次の瞬間、消し飛ぶ。

『6,5,4...』

根に絡みつかれたリムジンの中、ユーノは気を失ったすずかのひざの上で呆然としていた。
あまりにすさまじい威力だ。あの根がそれなりに腕の立つ魔術師だったとしても突進を止めることはできないだろう。1kmを超えていた距離を十秒で詰めてきている。時速に換算すれば400kmに迫る速度である。
封印のために威力を重視してこれだ。きちんと訓練した上で速度に魔力を傾ければ、使用すれば音速を超えることも苦ではあるまい。
ユーノの中でなのはの評価は非常に高い。だがそれでも足りないのは今の様子を見てよく分かった。

実は自分はとんでもない逸材を見つけてしまったのではないか?

魔力が底をつきかけていることも忘れてなのはに魅入るユーノの、全身の毛が逆立っていた。

『3,2...』

レイジングハートを握り締める。300mほど残りそうだった。問題はない。十分射程圏内だ。

『1』
「……ファイアッ!!!」



そして桜色の閃光が辺りを満たした。
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